卒業生の活躍
【卒業生インタビュー】6期生 木原レンさん
2024年11月9日、今年度全国舞踊コンクール現代舞踊第一部1位に入賞された6期生の木原レンさんにお話を伺いました。
取材:有言会広報担当
6期生 木原レンさんプロフィール
- 2004年生まれ
- 南山小学校6期生として入学
- 南山中学校・高等学校男子部を経て、早稲田大学法学部へ進学
- かやの木芸術舞踊学園に所属
- 2022年度第79回全国舞踊コンクール現代舞踊ジュニア部第3位入賞
- 2023年度第80回全国舞踊コンクール現代舞踊ジュニア部第2位入賞
- 2024年度第81回全国舞踊コンクール現代舞踊第一部第1位入賞
インタビュー
Q この度は全国舞踊コンクール現代舞踊シニア部門で1位入賞おめでとうございます。入賞されました演目「そして僕は一人になった」についてお聞かせください。
今回からシニア部門へと部門が変わり、中高生の時より演目の時間が1分増えたのもあって、今までの作品とアプローチや作風を変えたいということを念頭において作品をつくりました。コロナ禍では人と人との繋がりが希薄になってしまい、よくニュースでも自ら亡くなられるような方が増えたと耳にしたり、2024年元日には能登半島地震があり、今世の中に苦しんでいたり暗い気持ちになっている人たちがたくさんいると感じていました。その方々の気持ちを自分の中で考えながら、その人たちに踊りを通して何か届くといいなと考えたのがスタートでした。そこから3カ月くらいで作品を仕上げました。
Q 木原さんはいつからダンスを始めたのですか?
9歳、小学校3年生の時です。それまでは、大好きな野球をやっていました。ダンスは自分から「やりたい」と言い出して始めました。本格的にダンスをやり始めたのは6年生からです。スタートとしては決して早くはありません。
Q 毎日どのくらいダンスの練習をされているのですか?
今は学校が東京なので、だいたい週に2~3回東京のスタジオでレッスンを受けています。コンクールが近づいてくると岐阜に戻って来て、それからは毎日練習しますが、基本的な動きは入っているので練習時間は3〜4時間程度です。4分の踊りでも、毎回同じように踊るのは難しいので、その都度出てくる粗をブラッシュアップしていく感じで練習しています。やみくもに練習をしてもそんなに得るものがなくて、スランプに陥ってしまうことがあります。例えば「ターンはこうした方がいいんじゃないか」などを考えながら、頭を使って踊ることがとても大事だと思います。
Q 舞台ではどのようなことを考えて踊られているのですか?
あまり、何かを伝えよう伝えようとしても逆にそのことが透けて見えてしまう気がして、踊るときは意外にそこまで色々と考えていないかもしれません。様々な役と踊りがあるので、自分なりの踊るキャラクター像をあらかじめ考えておいて、自分の中にあるたくさんの引き出しのようなものから、踊る前にそのスイッチを入れる感じで踊っています。今そのようにできているのは、今までの舞台経験があるからだと思います。舞台での怖さも知っているからこそ、ひとつひとつ経験していくことで自信がついたことが大きいと思います。
なかなかうまくいかない時期があって、決選の出番が早く、気持ちの準備ができずとても緊張してしまい、とんでもない失敗をしてしまいました。結果的には3位に入れたのですが。この経験から色々考えた結果、最終的には不安要素をなくせばいいんじゃないかなという考えに至りました。失敗するかもしれないと思うから怖くなる。ならば普段から成功する確率を上げてしまえば、プレッシャーがかかることはそう多くないと思います。とはいえ、今年の舞踊コンクールの決選前にはすごく怖くなって、本番の前日の夜に1時間通して自分の曲をずっとかけて演技をし、出番1つ前の人の曲もかけて、同じ状況になっても何も思わないようにして仕上げました。コンクールの舞台はとてもピリピリとした空気感でした。
Q ダンスと勉強の両立は大変ではなかったですか?
正直小学校の時はそこまで大変ではありませんでした。小学校の頃はダンスに限らず、水泳もやっていたり、他にも色々習い事をやっていましたので、ダンスもその中のひとつとして、負担ではなく楽しくやっていました。そのようにやれていたのは両親のサポートがあったことが大きかったと思います。勉強もそんなに辛くなかったです。中高の時の方が大変でした。授業は効率よく受けるようにしていましたが、先生方にも恵まれて、例えば、ある数学の先生は先に問題を解いて合っていたら、あとは好きなことをやっていいという授業だったので、疲れている時は寝かせてもらいました。数学は特に好きな教科で、ゲーム感覚で楽しかったです。学校の授業では分からないことがあったら、メモをして授業が終わったらすぐ先生に聞くようにしていました。後回しにしたら、やらなくなってしまうので、疑問点がうまれたらすぐ解消するということが理解を深めるうえで大切だと思います。そして疑問が解消されると、そのことがとても印象に残るので、テスト前の勉強もそんなに大変でなくなると思います。勉強かスポーツなど、どちらかに偏ってしまうこともありますが、どちらも目標をもつことでモチベーションが上がりますし、やはり自分は学生なので勉強が本分でダンスだけを極めるのは違うのかなと思います。何より、お金を出してもらい、学校に通わせてもらっているので、勉強に関してはダンスを言い訳にしてはだめだなと思っています。
Q 本が好きだったと伺いました。好きだった本、印象に残っている本はありますか?また、本を読んでいたことで、なにか演じることにつながったと思いますか?
本を読んでいたことで、想像力がついたと思います。色々な登場人物やストーリーの展開などを、読書を通じて経験することで、知らないうちに自分の中に流れているように感じます。そういう意味で、本を読むことは大事だなと思います。特に年齢が小さいうちは自分が形作られている途中なので、本を読むことで、より一層感情豊かになるように思います。小さい頃は絵本の「ぐりとぐら」や「14ひきのシリーズ」が好きでした。迷路シリーズや推理小説、また三国志が大好きで、色々なバージョンを読みました。本をたくさん読んでいたことで、日本史や世界史も群像劇みたいで面白く感じました。とはいえ、本だけでなくゲームも大好きです。カードゲームやDS、スイッチなどもよくやっていました。
Q 南山小学校で一番印象に残っている行事はありますか?
小学校で一番印象に残っていることは、いい友達に恵まれたなということです。今でも仲良くしている友達がいますし、そういう存在と出会えて過ごせたことが、自分の中で大きなことだと思います。行事では、運動会が楽しかったです。高校がコロナの影響で行事がほとんど潰れてしまったので特にそう思います。他には5年生の京都旅行もとても楽しかったです。タクシーをグループで貸し切って、自分達でルートを決めて、三十三間堂や金閣寺に行ったことがとても印象に残っています。
Q 南山小学校の先生との思い出があれば教えて下さい。
色々な先生にお世話になりました。西脇先生、達郎先生、南原先生...特に西脇先生は、悩んだ時に親身になって話を聞いて下さり、進路においても支えになって下さいました。今でも公演に来てくださり、本当にありがたいです。
Q ダンサーとして、南山小学校の卒業生として、今後の目標や夢をお聞かせ下さい。
ひとりのダンサーとしてもっと成熟していけるように、色々なことにチャレンジしていきたいです。また、振付師である父のように素晴らしい作品を自分でも作り出していけるよう、もっと色々な舞台を経験しながら、勉強を重ねていきたいなと思っています。大学は法学部なので弁護士になることも考えています。法学も筋道を立てて考えることがすごく多いので、数学に少し似ていて、面白いです。ただ、覚えることがたくさんあって大変です。
Q 南山小学校に通って良かったなと思うことを教えて下さい。
勉強も行事も楽しいことがたくさんありましたが、一番は良い友達に巡り合えたことが良かったと思います。あとは家が遠かったので、朝早く起きなければならず、登校がとても辛かったのですが、大変な登下校があったからこそ、今色々なことが乗り越えられているなと思います。
編集後記
木原さんは、舞踊公演の時のダイナミック且つ繊細な踊りで私たちを魅了したように、お話を聞かせていただいた時も、誠実さと聡明さを兼ね備えた人柄に加え、ユーモアのあるトークで私たちを引き込んで下さいました。お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。今後の木原さんのご活躍を一同楽しみにしております。