恩師からのメッセージ

松浦典文先生 南山小学校10年の思い出

副校長 兼 教頭 松浦 典文

 今年度、南山大学附属小学校では、創立10周年を記念しています。卒業生の皆さんにもホームカミングデーでお楽しみいただきました。謎解きゲームの解決速度は速く、企画した業者さんも舌を巻いていました。ランチ試食のカレーは、ちょっと大人向けの味付けでした。大きく成長した卒業生の姿を見られたことは、南山小の教員にとって、大変嬉しい事でした。1期生はすでに大学生。小学生だった頃に、自家用車を運転して大学に通う姿を想像することはありませんでしたが、今はそれが現実です。7期生までのそれぞれが逞しく育っている様子を拝見すると、日本の未来は明るいと思えます。

 ホームカミングデーに来られなかった方にも記念誌や記念CD、記念品をお渡ししますとお伝えしたところ、大勢の卒業生が学校まで取りに来てくれました。10周年を共に祝えたという感覚があり、心が温かくなっています。

 さて、南山小が復活してから10年の間には、本当にいろいろなことがありました。その1つひとつは10周年記念誌に大まかに載っていますので、ここには、記念誌にない話を紹介したいと思います。

 皆様は、「野のユリ」という映画をご存知でしょうか。知らない方には、一度観ることをお勧めします。今でもDVDはあるようです。シドニー・ポワチエが黒人俳優として初めてアカデミー主演男優賞を受賞した作品です。吹き替え版ではなく、英語版で聞いたほうがいいです。特にラストシーンはそうです。この作品の終盤に、彼が大きな力を発揮して建設した教会に名前を刻む場面があります。教会建設を依頼したシスターは名前を刻むことを許してはいませんでした。

 これと似たことが南山小にもあります。図書室の外に、何人かの手形があります。南山大学附属小学校の設立準備に関わった人物のものです。この手形があることは、決して褒められるべきことではありません。映画の中でシスターが禁じたように。

 しかし、何か意味あることをしたいという気持ちをもった人間が関わり合いながら、南山小が出来上がっているということを示すものでもあります。南山小に非常に大きな意味を感じているのです。

 10周年記念誌には、南山小に在籍した全ての先生の顔写真を載せました。子どもたちのために最高のものを提供したいと思っている人々の顔です。これらの写真には、手形以上の意味があります。手形は限られた人にしか見えませんが、記念誌の写真は、もっと多くの人に見られます。